秋の夜長に聞く話《無常を歌う三夕歌があった》片山通夫

今更ながら、蛇足ながら「三夕歌」とは古今集所収の「秋の夕暮れ」を結びとした3首の名歌を指す。

「さびしさはその色としもなかりけり槙(まき)立つ山の秋の夕暮れ」寂蓮
「心なき身にもあはれは知られけりしぎ立つ沢の秋の夕暮れ」西行
「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋(とまや)の秋の夕暮れ」定家

昔、高校だったかで覚えさせられた。意味は割愛したい。

ここではやはり「もののあわれ」をテーマとする。万葉集では、素朴感やおおらかな恋などを歌い、古今集では仮名文字などに技巧が広がり、新古今では仏教思想が取り入れられて、もののあわれや無常が感じられるようになった。秋はやはり「もののあわれ」であり、「無常」でなければならないのだ。