連載童話《のん太とコイナ[天の川]#3》文・画 いのしゅうじ

つぎの日の明け方、のん太の部屋の窓がゴトゴトと音をたてています。
目をさましたのん太が窓に目を向けると、こいのぼりが顔をガラスにくっつけ、何かうったえています。
窓をあけると、男の子にいじめられたこいのぼりでした。
「きのうはありがとう」
こいのぼりが言葉をしゃべったので、のん太は目を丸くしました。
「空を泳いでるっていってくれたでしょ。うれしかったわ」
「じゃあ、ほんとうに空を泳いでたんだ」
「うん、川より空がいいの」
こいのぼりは「コイナ」という名の女の子。
山奥の村で暮らしています。町が見たくなりました。アカダ市の上空までやってきたとき、フェスタの係の人につかまり、ロープにつるされたのだそうです。
「フェスタが終わって解放されたので、お礼を言いたくて、まっさきにここにきたの」