夢の物語《京の都を鬼が行く 上》片山通夫

 なぜか筆者は妖怪変化に興味を覚える。怖がりのくせに、その存在を信じていないくせにである。古来いうところの「怖いもの見たさ」でもない。そんなもの見たくもない。怖いからである。
例えば深夜に大都会の雑踏の中で一人で歩いていたとする。周りは知らない人ばかりだ。そんな時にふと思う。「この人たちがもしも妖怪変化の類だったら…」

 

普通はそんなこと考えずに歩くのだが、ふとそう思うと背筋に冷気を感じて怖くなる。
またその雑踏を逃れてよく行くバーなどにたどり着く。間違いないのだが、そのバーで働く人は全く知らない人だったらと思うと今一歩が進めなく、ドアを開けずに引き返す。

ある友人は「それ病気」とこともなげに決めつける。
皆さん、そんな経験はお持ちやないですか?
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