山城の国物語《第26代継体天皇 002》片山通夫

継体天皇生誕の地・滋賀県高島市

継体天皇誕生

小泊瀬(おはつせの)天皇(武烈天皇)は、若い頃恋に破れてひどい女性不信に陥り、女性に対しては悪逆非道の限りをつくした。妊婦の腹を裂いて胎児を見たり、女を裸にして馬と交尾させたり、そのため一生を独身で過ごすはめになり、当然一子ももうけることがなかった。即位から8年で武烈天皇は崩御し、その事で大和朝廷には一大事件が発生する。即ち、世継ぎがいないため王朝断絶の危機に陥ったのである。
重臣達は合議を開き、大連(おおむらじ)の大伴金村(おおとものかなむら)は、丹波の国桑田郡(現京都府北桑田郡・亀岡市あたり)にいる足仲彦(たらしなかつひこ:仲哀)天皇五世の孫である倭彦王(やまとひこのおほきみ)を迎えて皇位につかせようとしたが、王は整列して行進してくる兵士を見て狼狽し山中に逃げ去ってしまう。
そこで金村は物部鹿鹿火(もののべのあらかひ)大連、許勢男人(こせのおびと)大臣らと協議して、今度は越前の国三国(現福井県坂井郡三国町あたり)にいる誉田(ほむだの:応神)天皇五世の孫である男大迹(おおど)王(後の継体天皇)を迎える事にした。 “山城の国物語《第26代継体天皇 002》片山通夫” の続きを読む

神宿る。《岩船神社》片山通夫

この神社は珍しくご神体が境内の大きい岩で手で触れることができる。
例えば九州・高千穂の岩戸神社では御神体「天岩戸」は拝殿裏の遥拝所からお参りし神職が案内してくれるのでかってにはゆ行けない。また奈良の三輪神社も山自体がご神体と言うので自由には入れない。その点岩船神社は神様も何となく近しい。以下 岩船神社 趣意書より “神宿る。《岩船神社》片山通夫” の続きを読む

徒然の章《路傍の仏様》中務敦行

コロナ禍で教えている写真クラブや教室など、休講が多く催しもありません。そのため毎朝の散歩を強化、昨年は500万歩近くを歩きました。自宅は大和郡山市、雨が降っても大抵は歩きました。大阪に来ると地下鉄の2駅は歩きます。体調はよくカメラをもっての散歩を楽しんでいます。行き先は半径10キロ以内。遠いときは帰りに公共交通を利用します。
昔から歩く時は各地の氏神様にお参りをしていました。コロナ以後はあちこちにあるお地蔵さんが気になりました。どこに行っても沢山あります。向かい市はもっといっぱいあったんでしょう。それが開発や宅地造成などで、安住の地を追われ取り出した人たちも処分はできず、新しいお堂を作って安置したと思われます。マンションのようなもの、まだ集めただけのもの。でもどの地蔵さまも丁寧に花が供えられ、大切にされています。
新しい住宅地でも変わりはないようです。最近の人は無関心かと思っていたが、そんなことない。コロナもこうして皆さんの気持ちが届けば、間もなく退散する、そんな気持ちで手を合わせ続けています。
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編集長が行く《社会的欲求不満の暴発か?》文・写真 Lapiz編集長 井上脩身

クリニック放火殺人事件犯の動機を探る

現場周辺の上空写真(2021年12月18日付毎日新聞より)

2021年12月17日、大阪市の心療内科クリニックで放火され、クリニックの院長(49)や患者ら25人が死亡する悲惨な事件が起きた。容疑者の男T(61)は死亡し、犯行動機は永遠のナゾである。現場は以前私が勤めていた会社のすぐ近くにあり、毎日のようにクリニックが入っている雑居ビルの前を通っていた。事件の数日後、現場を訪ねた。クリニックを覗くことができれば、動機をうかがわせる何らかのヒントがあるのでは、と思ったからである。だがビルの入り口は青いシートで覆われており、捜査関係者以外は中に入れない。何か手がかりはないかと調べてみると、東京のある心療内科医がコロナ禍のなかの人々の心理的不安について、マズローの欲求5段階の欠如を指摘していることがわかった。 “編集長が行く《社会的欲求不満の暴発か?》文・写真 Lapiz編集長 井上脩身” の続きを読む

とりとめのない話《ジャズする心》中川眞須良

昨年暮れから今年にかけメデイアを通じジャズの話をよく耳にする。それも流れている曲はなんと「サッチモ」ではないか、何だこれは?と思ったがその理由を知って納得がいった。
震源地はNHKの朝ドラである。
それにしても 時代があまりにも古い。彼のジャズの世界を初めてレコード(Sp?)で知ったファンは今 どうしているのだろうか、平均年齢は優に80を超えていると思われる。数年に一度?はジャズの話題が巷をさまそう時があってもすぐ、行方知れずになることが常であるが今回はどうであろうか。 “とりとめのない話《ジャズする心》中川眞須良” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その52《オロンコ岩》渡辺幸重

北海道の知床半島北岸に網走湾に面してオロンコ岩と呼ばれるドーム状の岩島があります。陸続きになっている大きな岩で、ウトロ崎へのトンネル道路が貫通しています。頂上にはオロンコ岩チャシ遺跡があり、先住民族「オロッコ」の夏家の炉跡であるといわれます。オロンコ岩の名称はオロッコ族に由来しますが、自らは“ウィルタ”と呼んでおり、ウィルタ協会はオロッコを蔑称だとしています。
昔、オロンコ岩にはウィルタ族の砦(オロンコ岩チャシ)があり、その南西約1kmのチャシコツ崎(亀岩)にはアイヌ族の砦(ウトロチャシ)がありました。両者は戦い、アイヌが勝利したといわれますが、以下のような伝承もあります。

写真:オロンコ岩(Webサイト<お城解説「日本全国」1100情報【城旅人】>より)https://sirotabi.com/1039/

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アカンタレ勘太12《キュウリ弁当》文・画  いのしゅうじ

 勘太のおかあさんがえがおを作って、北島八百屋のおくさんにペコペコしている。
「エイちゃんはすごい。エイちゃんをやとったおくさんはもっとすごい」
ちょうどエイちゃんがご用聞きからかえってきた。
「勘太くん、大丈夫ですか」
「勘太はね、どんなヘマをしてもさーっと忘れてしまう。アカンタレのええとこやね」
おかあさんはくすっとわらって、
「お礼に何がええやろか」
と、野菜をあれこれみまわす。
キュウリを手にとった。緑がつやつやしている。
「キュウリ五貫目(19キログラム)ちょうだい」
エイちゃんはそろばんをはじいて、
「130本くらいになります。そんなにたくさん、何にするんですか」 “アカンタレ勘太12《キュウリ弁当》文・画  いのしゅうじ” の続きを読む

連載コラム・日本の島できごと事典 その51《ピール島植民地政府》渡辺幸重

ナサニエル・セ-ボレーの直系子孫たち(20世紀前半撮影)

「泰平の眠りを覚ます上喜撰たつた四杯で夜も眠れず」という狂歌が詠まれたのは1853年6月、アメリカ東インド艦隊(司令長官:ペリー提督)が三浦半島・浦賀沖に現れたときのことです。ペリーは浦賀来航前の5月に琉球を訪れ、首里城で琉球国に通商を要求したあと小笠原諸島を探検しました。そのあと、浦賀に行き、さらに翌年3月に再訪して江戸幕府と日米和親条約を結ぶことになります。 “連載コラム・日本の島できごと事典 その51《ピール島植民地政府》渡辺幸重” の続きを読む

原発を考える《怒りを込めて振り返れ! 原発》一之瀬明

チェルノブイリ原発4号機

ウクライナ政府は2022年2月24日、ロシア軍がチェルノブイリ原発を占拠したと発表した。ミハイロ・ポドリヤク大統領顧問は、ロシアによる「全く無意味な攻撃」は「今日のヨーロッパにおける最も深刻な脅威の一つ」だと述べた。
また最近になって、プーチンはロシアの核戦力部隊に戦闘態勢に入るよう命令した。どうもロシア軍、いやプーチンは最後には核を利用することも作戦の一つと考えているような気がする。しかし火遊びにしては危険すぎる。ロシアの政治体制がどの様になっているのかわからないが、「核のボタン」をプーチンが押すと決めた場合、プーチンのそばにいる誰かがそれを止めることが出来るのか。またプーチンの精神状態などをチェックする体制もあるのか。いささかどころでなく心もとないことである。 “原発を考える《怒りを込めて振り返れ! 原発》一之瀬明” の続きを読む

原発を考える《甲状腺がんの加害責任をただす》文 井上脩身

東京電力を相手に提訴した原告団 

~患者たちが東電相手取り提訴~
 福島第1原発事故後、甲状腺がんになった6人が1月27日、がん発症は事故が原因として東京電力対して6億1600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。チェルノブイリ原発事故後、子どもの甲状腺がんが急増したことから、福島事故の被曝によるがん発症の可能性が強く指摘されたが、国や福島県、東電は因果関係を否定してきた。今回の提訴は、原発事故とがんとの因果関係の有無を公判廷の場で明らかにするにとどまらず、将来を担う子どもの健康を守るという、最も基本的なことに目を背けてきた東電の非人道的姿勢を浮き彫りにするという意味でも極めて意義深い裁判になる。 “原発を考える《甲状腺がんの加害責任をただす》文 井上脩身” の続きを読む