《渡来人たちの宴・外伝 その1》片山通夫

大阪府枚方市にある「伝王仁墓」

【博士王仁を語ろう】

渡来人たちが我が国の文化、政治、経済などあらゆるジャンルで活躍したことは言うまでもない。言い換えれば古代の倭国を造った人々だったというわけだ。そんな中でよく知られた人物を紹介したい。王仁(生没年不詳)は儒教と千字文を日本に伝えた渡来人だと伝えられる。『日本書紀』によれば、王仁は、百済の使者・阿直岐(あちき)の推薦で応神天皇(第15代天皇)の皇子・莵道稚郎(うじのわきいらつこ)の教師として渡来し、諸々の書物を講じたとある。しかしながら人物の詳細については全くと言っていいほどつたえられていない。『古事記』によると、王仁吉師 (わにきし)は『論語』や『千字文』すなわち儒教思想や漢字の基礎を初めて日本にもたらしたとされている。こうした功績により、儒学が盛んになった江戸時代以降、王仁は学問の祖として崇められるようになった。 “《渡来人たちの宴・外伝 その1》片山通夫” の続きを読む