シリーズ とりとめのない話《あの一言 003》中川眞須良

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人はある程度以上の齢を経ると、なにかにつけ昔を思い出す機会が多くなるものだ。私もそうだが、とくに自分よりも年上の人との会話の一部(例えばひとつの言葉)が、無意識のうち頭の隅にインプットされたのであろう、何かの折にふと思い出す機会が多い。相手との親交の深さ、長さとは直接関係していないことも少し興味深い。

あのときの 「あの一言」と題してそのいくつかの記憶をたどると

大阪日本橋オーディオ専門店 「S」 二階フロアー長Kさん(男性 40歳すぎ)の店内での一言

重い方を選んでください。特にスピーカー、アンプ、レコードプレーヤーは重い方を選んでください。よりメーカーの気合が入ってます、それすなわち良い製品と言うことです。」

その時の K さんの私に対する接客言葉はシンプルで自信を持っていると感じた。

おおよそ次のように・・・・・。、

「オーディオメーカーが各製品の心臓部(シャーシ、電源部、各所トランス.コンデンサ、配線)に基本と理想を求めようとすると、コストは当然上がります。しかしユーザーさんにとってそれは容易にはわかりません。私ら(店員)がこの場でいくら説明しても、パンフレットを何度見てもらっても、電源を入れ稼動させてもなかなか解らないと思います。特に同じ価格帯でメーカーが違えばなおのことです。ほとんどのお客様は もちろん予算内で、デザイン 最新機能 お好みのメーカー等で判断されているようです、とは言ってもたいへん迷っておられます。そんな時の私からの助言は毎回「重量です、重い方を選んでください!」 と申し上げています。」

Kさんのこの一言は1970年代の話であるが、特に記憶に残る要因はオーディオ商品だけでなく車 バイク カメラ 時計から工学機械全般、さらには木工品 家具 調度品 陶磁器など全ての生活用品に共通して言える事と気付き始めたからです。。

2021年の今、技術革新が進み価値観も大きく変化しすべてに通用しない面もあろうが 「器物、百年を経れば魂を得る。」 のもとに生きている私にとって 主義は貫く と言わざるを得ません。オーディオ店K さんを思い出しながら・・・・・。

現在、私の手元にある三つの器物 ステレオアンプ、カメラ(中古品で入手)、そして腕時計(私から希望した結婚お祝い品)。アンプは40年以上、カメラは50年以上、時計は50年近く経た今もトラブルなしで機能し続けている。

3品とも それぞれ重い!

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