山陽道・明石宿《蕪村の足跡をたずねて》文・写真 井上脩身

蕪村が自らを描いた絵(『蕪村 放浪する「文人」』より)

ようやく春めいてきた。コロナ禍のなか、巣ごもりがつづいていたので、海が見たくなった。ふと「春の海――」という蕪村の句が頭をよぎった。讃岐に行く途中、須磨で詠んだといわれている。ならば明石宿で泊まったのではないか。芭蕉の句に「蝸牛角ふりわけよ須磨明石」がある。江戸の俳人は須磨と明石をひとまとめに捉えていたようだ。おそらく須磨で源平合戦を想い、明石で海の幸に舌つづみをうったのであろう。「宿場町シリーズ」ではたびたび芭蕉をとりあげてきた。明石は旅多い芭蕉の生涯の西端の地とされているが、今回はあえて須磨・明石で蕪村の足跡を探った。 “山陽道・明石宿《蕪村の足跡をたずねて》文・写真 井上脩身” の続きを読む